皆さんこんにちは、サイクルイノベーション 代表の 山城正和です。
自分語りになってはしまいますが、私がなぜこのプロジェクトを立ち上げたのかという理由をお話しします。

私は若い頃から自動車メーカーやサプライヤーの技術職として経験を積んできました。そのかたわら、デジタルファブリケーションによるオリジナル製品の開発にチャレンジしてみたいという気持ちもあり、Fab施設の見学などを通じて興味関心を高めてきました。

私の趣味の一つはサイクリングです。サイクリングの醍醐味とは、なんといっても自分の力でペダルを漕ぎ、様々な道を自由自在に駆け巡ることです。
サイクリストのひとりとして、デジタルファブリケーションの力で何か新たな創造<イノベーション>を起こせるのではないか、そう考えて「サイクルイノベーション」というプロジェクト名と決めました。

サイクリストの声、悩み

2022年には、500名ものサイクリストの方々からご意見をいただく機会に恵まれました。そこで見えてきたのはサイクリストに共通する一つの悩みでした。

それは、「チェーン清掃がとても面倒で、なかなかやる気になれない」ということです。さらには、走行距離の少ないライトユーザーより、走行距離の長いヘビーユーザーほど、この悩みを強く感じていることでした。

私にとってこれは驚きでした。ヘビーユーザーほどチェーン清掃など気軽にやっていると思っていたのですが、それは思い込みでした。
「走行距離が長い=チェーン清掃の必要性が高い」 ため、今までの非効率な自転車チェーンの清掃方法だと、確かに必要性よりも面倒さが上回ってしまうのです。

自転車チェーンが汚れたままだと、誰でもわかると思いますがペダルの動きが重くなり、漕ぐ力がより必要となり、疲れやすくなります。汚れたチェーンはサイクリングの楽しみを減らしてしまうのです。
自転車チェーンを、もっとお手軽に、手や床を汚さずにできる方法はないかと考えました。

発案・設計・商品化

テーマは「床や手を汚さず、お手軽にできるチェーン清掃具」の開発です。
従来のチェーン清掃の方法にはこのような問題点があります。

  • 手や床がどうしても汚れる
  • 洗浄剤を使い回すため汚れが拡散する
  • チェーン清掃具自体のメンテナンス(消耗品の交換)ができない

そこで私はこれらの問題をすべて解消できる、画期的なチェーン清掃具を作るため、Autodesk社の3次元CADシステム「Fusion」を利用して設計をはじめました。2017年のことです。

Fusionの画面上で設計したものは3Dプリンタを使い部品単位で出力し、組み立ててテストを行いますが、たったひとりで取り組むプロジェクトゆえに、試作とテストには苦労が重なり、商品化に至るまでには8年もの歳月を必要としました。

左:本体
右:樹脂ブレード・ゴムブレード

今までにない、樹脂ブレードを使って汚れをかき取る画期的な方式チェーン清掃具に私は「チェーンクリーニングブレード」という名前を与えました。

テイクオフ

D-fabは、大学生や社会人、様々な違う立場の人が集う空間です。D-fabを利用してきた私は2024年に起業を決意して京田辺市商工会に入会しました。(現在は退会済)
D-fabでの活動がなければ、私は起業することなくひっそりとプロジェクトを続けていたかもしれません。

D-fabで得た情熱が私に大きな決心を促しました。そして今、こうやって皆様にチェーンクリーニングブレードをお届けできるところまでこぎつけられました。

また、自社工場を持たずに企画設計だけ行う私に対して、デジタルファブリケーションによる少量生産を行ってくださる株式会社YOKOITO様のご協力がなければ、このチェーンクリーニングブレードが世に出ることはありませんでした。
もしこのページを読んでくださる方が、少量生産によるものづくりにご関心をお持ちでしたらぜひ下記のサイトへアクセスしてみてください。

このページにアクセスしてくださった皆様に心より感謝申し上げます。